余命38日、きみに明日をあげる。

やっぱり莉緒はそう思っているんだよな……。

莉緒からは、好きな人の話を聞いたことがなかった。

自分の寿命をわかっていて、恋なんてしないと決めているんだ。そう思うと、やるせない。

今すぐ言いたかった。俺が莉緒の彼氏になると。

でも、そんな勇気ない。

莉緒のことだ。「なに言ってんの?」そう言ってケラケラ笑い飛ばされて終わりだろう。

気付いたら、莉緒の席がぽっかりと空いていた。

莉緒がいない。

それだけで、胸がざわざわした。まるで莉緒がこの世界からいなくなってしまったかのように。

もしかしたら、椎名とつき合うことが、莉緒の願いの一つなのだろうか。

38日と言われたリミットは、すでに2週間が経過している。

もう、どうすればいいのかわからない。

「なあ、いい加減莉緒ちゃんにコクれば? お前がいつまでも彼女を作らないから告白が後をたえないんだろ。これ以上泣かせる女増やすなよ」

「……」
< 145 / 288 >

この作品をシェア

pagetop