余命38日、きみに明日をあげる。
莉緒がひかれそうになったとき。
もし、俺が莉緒を助けられていなければ、トーヤが時を止めて運命でも変えていたのだろうか。
「ったく、手がかかるのは70番だけにしてほしいものだ」
否定も肯定もせず、同じようにフェンスにもたれかかり、面倒くさそうに息を吐く。
こんな奴に莉緒の魂を取らせてたまるか。会えば会うほどそう思う。
ところで……。
「ナオは?」
いつも、「せんぱぁ~い」って、騒々しく必ず後を追ってくるナオがいくら待っ
てもやって来ない。
「今日は、試験だ」
「試験?」
「一人前の死の神になるまでには、いくつもの試験がある。まあ、落ちることは目に見えてるがな」
当然のように言うトーヤに、俺は眉を寄せた。
「落ちるってわかってるなら、落ちないように指導してやればいいんじゃないの? トーヤには監督責任はないのかよ」
「見てればわかるだろ。お節介で情に熱いところは、俺に軌道修正なんてできない」