余命38日、きみに明日をあげる。

「ほら……昨日部活終わりに女子に呼び出されたじゃん? アレ冷やかしてさ」

「また佐久間コクられたんだ」

 へーと、一花が感心する。

「あいつさ、絶対に誰ともつき合わないし、いつもの感じで冷やかしたんだけ
ど……なんか、怒っちまって……」

「もー、変なこと言ったんでしょ!」

「だって、あんなに怒ると思わねーし……」

そう言って、また私をチラリと見るからには、やっぱり私が何か関係しているの
だと思った。

「あっ、帰ってきた」

一花が小さく叫んで立ち上がった視線の先。

そこには、涼しい顔をした琉生が教室に入ってくるところだった。

思わず目をそらしてしまう。どんな顔を向けたらいいかわからなくて。

「ちょっと一言言おうか」

「今はやめとけって」

「そお……?」

陸乃進くんにたしなめられた一花は、もどかしそうにしながらも、おとなしく席に座り直した。
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