余命38日、きみに明日をあげる。

その分お姉さんたちは甘い。

それに、同じ病気を患っている場合、ここまで私も大きくなれるかなと勇気をもらったものだ。

特に親御さんはそう思うらしい。

このプレイルームには、私もたくさんの思い出がある。

「おねえちゃんの名前は、莉緒だよ」

「莉緒おねえちゃん!」

みちるちゃんは、私の手を引っ張って、ツリーの元まで連れていく。

ツリーには、オーナメントのほかに子どもたちがサンタさんにお願いしたいものが、長靴の形をした短冊に書いてつるされていた。

「これね、わたしがかいたのー!」

ニコニコ顔で1枚の短冊を指させば、そこにはつたない字で「キュートラビッツのステッキをください」と書かれていた。

それは、テレビで放送されている女子戦隊ものの魔法アイテム。

幼女の間では爆発的人気を誇っているらしく、クリスマス商戦に備えて、最近ではひっきりなしにCMも打っている。
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