君のブレスが切れるまで
 自分の想いを打ち明けたあの日から、彼女との距離はグッと近づいた。いや、違うかな……きっと私が近づいたんだ。歩み寄ってくれる雨に、私も。
 例の三人組は雨のおかげで停学処分となり、とうとう今日まで出会うことはなかった。
 雨がどんな弱みを握っていたのかはわからない。ただ彼女は「同じことをやっただけ」と言うだけで、それ以上のことは聞いちゃいけないのかと思い、聞くことはなかった。
 ただ三人だけが停学処分になったということは、雨は暴力で訴えたわけじゃないのだろう。


 とにかく明日からは夏休み、いじめられる日々とは一旦さよならだ。けど夏休みが終われば、またあの日常に戻ってしまうのかと思うと気分はブルーになる。


 いじめの件は早めにどうにかしないといけない。
 自分の力でできることなんて限られてるけど、雨にこれ以上の負担はかけたくない。もしどうにもできないのなら、私が死んだ方が雨的には楽になるのかなとは思う。
 あの三人を停学処分に追いやるくらいだ、彼女だけならいじめられることなんてないはず。


 ブルーな気分になると、途端に変な考えが浮かんでくる。私はその気分を振り払うよう首を振った。


「死にたいって思うのは禁止だった……」


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