君のブレスが切れるまで
 女の人の声、私の知らない声だ。さっきの女生徒達じゃない。一体誰?
 私は勇気を振り絞りつつ、ゆっくりと顔を上げてみる。ほんの少しだけ、相手が見えるくらいに。


 腕の上からジロリと私は覗く。
 そこには、さっき私を見ていた女の子。
 整った綺麗な顔、そして綺麗な黒髪、私と同じ黒いセーラー服を着た赤い眼が特徴的の女の子がいた。左手には畳まれた赤い傘、右手には私に渡しているのか白いハンカチを差し出している。


「貴女、さっきあっちで見てた人だよね……私に何の用ですか」


 私は視線だけをフェンスの方へ動かし、吐き捨てるようにそう言う。
 助けてくれとは思ってなかったが、何もせず見られているのは気分が悪かった。そして私が可哀想だと思ったのか、こうやって話をかけてくる偽善者。


「死にたい?」


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