君のブレスが切れるまで
 入学式が終わり割り振られた教室へと戻ると、中央の一番後ろの自分の席に座った。
 出席番号順じゃないなんて、珍しい。


「ルリー! 学校同じだねー!」
「やっほ! お互い無事に入れてよかったわねー!」


 クラスの大半がわいわいと賑わっている。連絡先を交換したり、中学が同じだった人達が騒いでいるのだろう。
 駅でぶつかってしまった女の子は入学生側にいた。という事は、彼女は私と同じ一年生。一緒のクラスならどこかにいるはずだけど――
 私は教室を見回し、その子の姿を探す。


 いた。窓際の一番前の席、後ろ姿からでもわかる、あの長い後ろ髪。


 少しだけ考える。話しかけてみようか? でも、さっきのことで怒っていたりしたらどうしよう。こういう時に限って臆病な性格が邪魔をする。
 ……いや、行こう。ちょっと話をするだけだから。
 私は立ち上がろうと机に両手を付けた瞬間、担任の先生と思われる男の人が教室へと入ってきた。


「さー席に付けー! 今日からお前らの担任となる――」


 なんてタイミングの悪い。でも、同じクラスなのはわかった。いつでも話しかけれるんだから、その時に改めて謝ってみよう。それからどうしよう、友達になってもらう?


「赤坂、赤坂!」


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