君のブレスが切れるまで
 今の生活が変わる? そんなの夢物語だ。無理に決まっている。
 こんな甘い言葉に乗っちゃダメだ……そうやって信じ込ませて、私を酷い目に合わせようと裏切る算段を立てているんじゃないの? そうだ。信用なんかできるわけがない。
 信用できない……はずなのにっ! なんで……なんで私は。


 彼女の眼を見てしまうの?


「死にたい……死にたいんだよ……?」
「死なないで、お願い」
「意味わかんない! 意味わかんないよっ! もうこんな世界嫌なんだよ! 私はもっともっと優しくしてもらいたいの! でも実際は痛いことばかりで、誰も私に優しくなんかしてくれない……だからもう無理だって諦めたの! だから死ぬの! 死にたいの! 死なせてよっ!」


 私は目を瞑り、両手を頭に当てると首を左右に振りつつ泣き喚いた。
 本心だったし、今でも飛び降りる覚悟はある。こんなところで邪魔なんてさせない、もうこれ以上のチャンスなんて訪れないんだから。


 けれど、彼女は。


「っ! な、何――」


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