君のブレスが切れるまで
「でもさぁ、少しは反抗してくれた方が面白いんだけどね」
「……い、痛い……よ」


 頭に痛みが走り、視界が変わる。目の前には名前も知らないツインテールの女の顔が見えた。
 この人に髪を掴まれているみたい、どうりで痛いわけだ。


 女生徒から私は目を逸らす。目を見るのは怖い、威圧感のある目はとても恐怖を感じるから。
 逸らした視線の先で、フェンスの向こう側からこっちを見ている人を見つける。私と同じセーラー服で長い黒髪の少女。ただの野次馬かと思ったんだけど、もしかしたら野次馬じゃないかもしれない。ただどうしてかその人が妙に気になった。


 普段はそんなこと気にならないはずなのに、なぜその人を見てしまったのかと言うと、その人は雨も降ってないのに傘を差していたから。あれはどう見ても日傘じゃない。赤い雨傘。そして、あの赤い眼。
 あの不思議な人は前にどこかで見たことある……誰だっけ。


「どこ見てんの……さ!」


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