君のブレスが切れるまで

第8話 決別の日

 昼食になったが雨が買ってきてくれていたと思われる弁当を平らげ、私はそわそわしていた。
 後、10分程度で昼休みが終わってしまう。それなのに帰ってくる気配がないあの子に私は不安を覚えていた。


 カーテンを開け、外の様子を見てみると、空は未だに雨空のままで隣の一軒家しか目に映らないことに落胆する。


「ここ、裏からじゃ何も見えないんだ……」


 この街に来てから三年くらい住んでいるけど、ここの最寄り駅で電車を降りたことはほとんどなく具体的にここがどこなのかはわからない。
 そこまでアクティブに街を徘徊するわけでもなかったし、転校してきた影響で友達もあまりいなかった。誰かと一緒に街で遊ぶなんてこともなかったのだ。
 それに昨日、この辺りを歩いたのは夜で周りもよく見えなかった。外がどんな感じなのかが気になる。決して、雨が帰ってきてないかっていう理由で外へ見に行くわけじゃない。


「パジャマじゃ、おかしいかな……でも――」


 セーラー服がどこにあるかわからない。ビニール袋に入れてたはずなのに、どこにいったんだろう?
 部屋の中を物色していると、机の脇にちょこんと置いてある紙袋をすぐに見つける。見てはいけないかもしれないけど、他にこれ以外のものはなく、雨にも部屋にあるものは好きにしろと言われていた。
 部屋のものを勝手に触れるのは気に病むけど、これしかないんだ。


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