政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 そうならないためにも、家事だけは完璧にやらないと。

 意気込み、彼のワイシャツのアイロンがけに取りかかる。

 一枚目のアイロンがけが終わり、二枚目に取りかかろうとした時、スマホが鳴った。

 時刻は十三時過ぎ。相手を確認すると千鶴ちゃんからだった。

「もしもし、千鶴ちゃん? どうしたの?」

 今日は大学の授業ないのかな? それとも昼休み中に電話をしてきた?

 そんなことを考えていると、千鶴ちゃんは開口一番に力強い声で言った。

『凛々子ちゃん、私はなにがあっても凛々子ちゃんの味方だからね!』

「どうしたの? いきなり」

 少し前に零士君と笹野さんと食事をした時に感じた気持ちを、千鶴ちゃんに打ち明けた。

 それをいまだに私が引きづっていると思って、だからこうして連絡をくれたとか?

『覚えていてほしいの、凛々子ちゃんには私がついているって。だから自分の気持ちに正直になってよ』

「えっ?」

『この前は言えなかったけど凛々子ちゃん、綾子に嫉妬するほどお兄ちゃんのことが好きなんでしょ?』

「それは……」

 言葉に詰まると、千鶴ちゃんは畳み掛けてきた。
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