政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「おいで、凛々子」

 言われるがまましがみつくと、繋がったまま起こされた。彼を奥まで感じて声にならない。

「待って、零士君。これ、だめ」

「どうして?」

 私の表情を窺いながら身体を揺すられては、しゃべりたくてもしゃべれない。

「顔はだめって思っていないようだけど?」

 クスリと笑い言われた一言に、かあっと身体中が熱くなる。

「零士君の意地悪」

 グーで肩を叩いても、零士君は嬉しそうに笑った。

「ごめんね。凛々子が好きだから意地悪したくなるんだ。もちろん意地悪するのはこれから先もずっと凛々子、ただひとりだけだから」

 零士君は得意げに言うものだから、つい笑ってしまう。

「じゃあ約束ね。……こうして優しく触れるのも、意地悪するのも私だけだよ?」

「あぁ、約束する」

 この日の夜、私たちは好きという気持ちを伝え合うように、何度も身体を重ねた。

 愛する人に触れる幸せを噛みしめながら。
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