政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「待って、零士君。私、もう……」

 一度休ませてほしくて懇願するも、彼は許してくれない。

「まだ全然足りない」

 私の背中に腕を回して起こすと、再び繋がった身体。深いところまで彼が入ってきて苦しい。

「やぁっ……これ、だめ」

「どうして? 気持ちいいだろ?」

 図星だけど、恥ずかしくて首を横に振る。

 そんな私の首筋を零士君は強く吸った。

「んっ」

 チクッとはしる痛み。赤い印を身体にいくつ付けられただろう。

「好きだよ、凛々子。……好きだ」

 愛の言葉を囁かれると、身体は限界を迎えているはずなのに、彼を受け入れたくて仕方がなくなる。

「凛々子」

 なぜ零士君に名前を呼ばれるだけで、こんなにも泣きそうになるのだろうか。

 こんなこと、今まで一度もなかったのに。

 ヒリヒリと痛むほど口づけを交わしているのに、また零士君は私の唇を塞いだ。

 その後も彼は私を休ませてくれず、何度目の絶頂を迎えた時だろうか。薄れゆく意識の中、零士君は私の耳元に顔を寄せて囁いた。

「あいつに奪われた心も身体も、全部俺が奪うから」と――。
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