政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 前言撤回。我が妹ながら恐ろしい。にこにこ笑いながらずいぶんと怖いことを言うものだ。でも、それも悪くない。むしろ当然の罰だよな。凛々子を傷つけたのだから。

「そうだな、さっそく取引先や昔から厚意にしてくれている社長に話しを付けておくよ」

「うんうん、そうして。きっと凛々子ちゃんを当てにしてあいつ、まだ就職活動していないと思うから」

「それは好都合だな」

「でしょ?」

 ふたりして悪い顔をして言いながら笑う。

 そしてひとしきり笑った後、千鶴は「早く凛々子ちゃんに好きになってもらってよね」と再三言って帰っていった。

 タクシーに乗せて見送った後、千鶴に言われた言葉を思い出す。

「好きな人と結婚したいって願いを、絶対に叶えてあげて。……か」

 叶えてやりたいよ、その夢を。

 そのためにも凛々子に好きだと伝え続けよう。

 そう心に誓った。



 それから結婚までの半年間はあっという間に過ぎていった。

 一夜をともにしたことは、おじさんとおばさんからうちの両親にも伝わり、すっかり俺たちが相思相愛の仲だと確信した両親たちは、凛々子の大学卒業を前に予定していた結納を前倒しして済ませた。

 そして桜の花びらが舞い散る季節となった、大安吉日。俺と凛々子の結婚式は盛大に行われた。

 誓いのキスの前に俺は神様の前で誓った。凛々子を世界で一番幸せにすると。
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