溺愛予告~御曹司の告白躱します~
あんなに頑なに自分の気持ちと向き合うのを恐れていたというのに。
水瀬が丁寧に一つずつ不安を解消してくれたおかげで、今はこんなにも気持ちが凪いでいる。
しかし、まだ不安要素は残っていた。
爽くんも言っていた。御曹司ならではの不安…。
「…爽くんが言ってたんだけどね?」
「爽?」
若干低い声で聞き返される。
ちょっと怖いなと思いつつ、もしかしたら嫉妬してくれているのではと思うと少しだけ嬉しくなってしまう。
「うん、あの、いずれ自分は会社を継いで、親の決めた人と結婚するんだろうって」
だからこそ水瀬の言う『女癖だけは最悪』というあのキテレツな恋愛観になってしまったのだけど、そこは私が言っていいことではないと思うので割愛する。
「あぁ」
「だから、その、水瀬もいずれ…お見合いとか、そんな話があるんじゃないかって思って…」
その度に相手の女性に嫉妬して、水瀬を疑って…。
そんなことを繰り返していればお互い徐々に疲れてしまうのなんて目に見えている。
「ないよ、大丈夫」
「へ?」
「爽のところはたまたま伯父が見合いで結婚しただけで、俺の両親は普通に恋愛結婚だったって聞いてる」
「そ…そうなの?!」
意外な話に思わず声が大きくなる。
身体を引いて目を合わせれば、少しムッとした表情で睨まれた。