溺愛予告~御曹司の告白躱します~

爽くんのキテレツな恋愛観は、この職場では知らない人はいないんじゃないかというほど有名だった。

彼氏や片思い相手がいる女の子ばかりをターゲットにするというゲーム感覚な恋愛をしていた理由を聞きはしたけれど、やっぱり私には理解不能だと思っていた。

頬を腫らして出社したのも1度や2度じゃなかったのに。

一体どんな心境の変化が…。

「ヒドイ。だって莉子先輩が言ったんですよ、御曹司としてじゃない俺を見てくれる子が絶対いるって」
「うん。言ったね。顔も身体も好みの子がいるはずだって」
「あ、意外に根に持ってますね、その発言」

別に根に持ってるわけじゃないけど。

『半年一緒に働いて、俺を御曹司扱いしない女の人って珍しくて気になったからターゲットにしてみただけだった。特に好みの顔でも身体でもないですし』
『莉子先輩が好きです。たぶん…初恋なんです』

告白されてんだかディスられてるんだかわからなくて混乱したのは記憶に新しいのだ。

爽くんの私への想いが嘘だったとか勘違いだったとか思っているわけじゃない。

でもだからって熱烈に恋されていたのかと言われれば、きっとそうじゃないんじゃないかと思っている。

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