溺愛予告~御曹司の告白躱します~

とはいえ、今日から女やめますと宣言してやめられるものではない。
生物学上女であることは一生変えられない。

私が出来ることといえば、少しでも相手に信頼してもらえるように、仕事に関連した資格を取りまくることだった。

宅建士、ファイナンシャルプランナー、さらに二級建築士の資格も取るために、仕事を終えた後の時間は勉強に費やした。

悔しい思いをすることもあるけど、大きな建築を担う仕事はやりがいもあるし、携わった建物が竣工を迎え落成式を終えた時の達成感はきっと他の仕事では得られない。

同期の水瀬もいるし、営業の先輩たちもいい人ばかりで楽しい。
社会人二年目としては充実している反面、彰人と会う時間は激減していった。

それでも記念日が近くなれば私だってウキウキするもので。
まだ残暑も厳しい九月上旬、彰人との付き合って三年目の記念日をどう過ごそうかと考えた結果。
私はサプライズで彼の部屋を訪問することにした。

たまたま記念日当日が三ヶ月ぶりの同期会の日だったけど、私も彰人と二ヶ月以上会えていなかったので申し訳ないけどそちらを優先することにしたのだ。

同じ営業課の水瀬に行けない旨の伝言を頼み、水曜日はノー残業デーということで定時ぴったりに退社した私は彰人のマンションへ向かった。

大学を卒業したのと同時に合鍵を貰っていたので、一旦家に行き荷物を置いたら近くのスーパーで買い物をしよう。
きっと疲れて帰ってくるだろうし、外食に連れ出すのも申し訳ない。

そもそも記念日だと覚えているだろうか。
確か彰人は去年も忘れていて、覚えていた私が買ってきたケーキを食べて終わった気がする。

そこまで記念日に拘る方でもないしプレゼントだっていらないけど、せめて誕生日と付き合い始めた日くらいはふたりで過ごしたい。

< 18 / 178 >

この作品をシェア

pagetop