【改訂版】新まりなの日記

【ひとつしかない命をそまつにしないで!!】

5月10日・晴れ

昨夜(ゆうべ)、的場町の居酒屋さん数軒はしごして一夜を明かした。

アタシは、明け方6時にJR広島駅から山陽本線の電車に乗って、再び岩国へ向かった。

例の事件で、負傷した彼女が入院している病院へお見舞いに行く。

JR岩国駅で列車を降りて、駅の外へ出た。

アタシは、立ち止まって空を見上げた。

空の上では、米軍基地から飛び立った戦闘機が轟音をあげて飛行している。

アタシは、急ぎ足で彼女が入院している病院へ向かった。

ところ変わって、麻里布町の病院にて…

アタシは、受付の女性にカノジョが入院をしている病室を聞いてから入院棟へ向かった。

カノジョが入院している個室の病室にて…

ベッドの上にいる彼女の左腕に、包帯が巻かれている。

包帯の中の傷は、ものすごく大きいと思う。

カノジョは、あいつと出会った時から今までのことをアタシに洗いざらいに話した。

カノジョの話を聞いたアタシは、たしなめる声で言うた。

「あんたもつらかったよね…あいつは、身体の関係しか知らんドアホな男よ…そんなん知らずにお付き合いをしていたあんたも、ドアホよ!!」

アタシは、ひと息ついてから彼女に言うた。

「あんたね!!たったひとつしかない命を粗末にしないでよ…アタシかて、なんべんもつらい想いをしとんよ…男に捨てられた回数も、男とトラブった回数も…たーんとあるわよ…ラチられて、集団で犯されて…身も心もグチョグチョに傷ついた…どんなにはずかしめを受けても、アタシは生きたわよ…生きて生きて…生きぬいたのよ…こななやさぐれた女やけど、死にたいと思ったことなんか…1度もない…あんた!!アタシの話を聞いてよ!!」

アタシの言葉に対して、カノジョは悲しげな声で言うた。

「アタシは…まりなさんのように強くなれない…」
「なに言うてんねん!!自分の意志をもっと強く持ちなさい!!生きてるだけでも幸せだと言い聞かせて感謝して生きて行きなさい!!甘ったれるんじゃないわよ!!」

アタシは、泣き声でカノジョに強く言うた。

充血した目から、濃い血の涙がたくさんあふれた。

しかし、アタシのメッセージはカノジョの耳に届いてへんと思う。

カノジョの見舞いを終えたアタシは、再びJR山陽本線の電車に乗って、広島駅へ引き返した。

アタシは、乳房(むね)がしめつけられる想いにかられていた。

アタシは…

男にほかされても(捨てられても)…

男とトラブっても…

がんばって、生きて来たのよ…

ひどく傷ついても…

がんばって、生きて来たのよ…

ひとつしかない命を粗末にしないでよ!!
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