【改訂版】新まりなの日記

新まりなの日記・８

【再出発】

９月20日・くもり

アタシは、福井市内のコンパニオン派遣事務所で働いていた。

コンパニオンの派遣先は、芦原温泉の高級旅館である。

出番がないときは、事務所内のデリヘル店で働いていた。

この日、アタシにコンパニオンの仕事が入ったので、芦原温泉街へ行った。

派遣先は、えちぜん鉄道三国あわら線のあわら湯ノ町駅から歩いて８分のところにある高級旅館です。

派遣先の旅館に、京都の呉服の卸売り屋さんの社長さん(72歳の女性)のだんなさん(78歳・会長さん)が宿泊していた。

だんなさんは、金沢に加賀友禅の製造会社の社長さんのお接待で来られていた。

社長さんは、うちの事務所の社長さんの上得意さんである。

今回もまた、新規の契約を獲得する目的でアタシは利用された。

会長さんは、三度メシ…どころか自分の嫁よりも女好きの道楽者であった。

シーンは、高級旅館の居間にて…

居間には、社長さんと会長さんがいて、こんな会話をしていた。

「会長はん、どないでっか？」
「どないでっかって？」
「新規契約を結びますか？」

会長さんは、取引をしようかどうかと悩み続けた。

社長さんは、やらしい口調で会長さんに言うた。

「会長はん…あんた、自分の嫁よりも女好きでおますなぁ…ここだけの話でおますが、今新規契約を結べば…べっぴんはんのコンパニオンを紹介しまっせ…（イヒヒと笑いながら）…会長はん好みの美マジョはんでおまっせぇ……入りたてのピチピチで、ええ女でおます…どないでっか？」

会長さんは、ニヤニヤとした表情で『ヨッシャ、決めた!!』と言うて、契約書にナツインした。

それから10分後、酒の宴が始まった。

クリーム色のワンピース姿のアタシは、会長はんのオシャクの相手をしていた。

四国松山が発祥のお座敷歌『野球拳おどり』の歌に合わせて、お座敷遊びが繰り広げられた。

座敷の真ん中で、別の事務所から派遣されていたコンパニオンの女の子と社長さんが野球拳おどり（最初はグーじゃんけん）をしていた。

じゃんけんに負けたら、大きめのマスに入っている酒をのみほす形である。

この時、社長さんが『酒はええ…野球拳言うたら脱ぎや抜き!!』と酔った勢いで言うた。

会長はんは、アタシに脱ぎの野球拳を強要した。

アタシは、はだかになる覚悟で会長さんの野球拳おどりの相手をした。

そのようになることは承知の上で、いつもよりも４枚多めに衣服を着ていた。

そして、脱ぎの野球拳おどりが始まった。

野球拳おどりで全部負けたアタシは、みなの前で生身の姿をさらされた。

深夜11時過ぎのことであった。

アタシは、会長はんが泊まる部屋でお相手をした。

会長はんは、アタシのひざの上で子供のように甘えていた。

深夜11時55分頃であった。

部屋を出ようとしたアタシは、会長はんに腕を引っぱられた。

「待ってくれ…」
「イヤ、お客様…」
「一晩いてくれ。」
「あきまへん!!」
「なあ、そない言わんと、子守唄を歌ってくれぇ…」
「イヤ!!やめて!!」

会長はんに腕を思い切り引っ張られたアタシは、『エーンエーンエーン…』と泣き（うそ泣き）声をあげた。

「ああ、ごめんね…」
「エーンエーン…」
「ごめんね…よしよし…」

うそ泣きしているアタシは、会長はんに抱きしめられた。

その後、アタシは会長はんにふとんに寝かされた。

そして、衣服をとられて生身の姿されたあと、グチョグチョに汚れた。

今度こそ幸せになると決意したけど、結局は男にしがみついて生きるしかないアタシであった。