【改訂版】新まりなの日記

【なんでアタシを頼るのよ!!】

8月12日・はれ

京都祇園の中心地の交差点で軽ワゴン車が暴走して歩行者7~8人が死傷した事故は、事故を起こしたダンナが亡くなったので京都地検に書類送検と言う形で幕引きとなった。

そういうことで、虫ケラの家のモンは、交通事故の翌日から地獄の日々に変わった。

被害者遺族のみなさまに支払う損害賠償の問題に加えて、コキャクから預かった大金をオチャヤアソビに使い込んでいた…

…などの問題で、一家はリサンした。

住む家をなくした小娘夫婦は、宝塚市旭町にあるムコはん方の実家へ逃げ込んだ。

これにより、ムコはん方の家は実家天国と化した。

小娘は『落ち着かん…』と言よった。

イギリス栄転を取り消されたムコはんは、会社から『大阪の支店に左遷、追い出し部屋へ移る…それとも、のたれ死にする(雇用保険なし、再就職の世話なんかせえへんと言うこと)の3つのうちからひとつを選べと脅迫された。

この時、ムコはんは会社をやめようかと思っていた。

しかし、それはのたれ死にを選ぶと言うことだ…

追い出し部屋を選ぶと言うことは、家族にメーワクがかかる…

せやけん、大阪へ転勤することを受け入れた。

会社のもんは、ヘラヘラヘラヘラわろとるだろな…

実家から阪急宝塚線の電車に乗って遠距離通勤に変わった。

それまでは、自宅から職場までの距離は歩いて10分前後で、楽だった。

けど、満員電車に揺られて遠距離通勤はしんどい…

ムコはんは『しんどい、つらい…』とつぶやいたが、家族を食べさせなければならないので会社をやめることができん…

またその上に、実家では頭の痛い問題をたくさん抱えていた。

ムコはんは、きょうだいらの今後の問題で深い悩みを抱えていた。

ムコはんの一番上のお兄は、家族5人で唐桑(からくわ・宮城県気仙沼市)で暮らしていたが、東日本大震災の巨大津波で家が焼失した。

その上に、勤めていた製麺工場を解雇された。

嫁さんも、パート先のスーパーストアが巨大津波で店舗が壊滅的な被害を受けたので、休職となった。

新しい就職先が見つからない上に、子供たちも学校に行くことができない。

二番目のお兄の家族は、原発事故で、大熊(福島県)で暮らして行くことができなくなった。

二番目のお兄が、生きる気力をなくしたと言うてだらけたので、嫁に逃げられた。

妻子は、家出した直後に行方不明になった。

さらにそのまた上に、下の弟たち3人がムコ養子先の家でシュウトと不仲になって出戻った…

末の弟は、大学院に在籍しているけど8年以上休学している。

せやけん、家庭内はだらけていた。

この日の明け方7時頃だった。

セブンイレブンのバイトを終えたアタシは、楠町(くすのきまち)のアパートへ帰る途中の東遊園地で虫ケラの小娘と会った。

小娘は、アタシに会うなり『お願い、助けて…』と泣きながら言うたけん、ケンカになった。

「この前の交通事故が原因でなにもかもがおかしくなったけん、助けてくれだなんてどう言うわけかしら!?アタシにどないせえ言うねん!?」
「まりなさん…アタシは今すごくつらい思いをしているのよ…父が起こした交通死亡事故で、宝塚の実家の家族からもイヤミを言われ続けているのよ…アタシ…家出したい…まりなさん…お願い…助けてよぉ~」
「そんなん知らんわ!!…あんたはアタシにカネくれと言うのかしら!?それとも、アタシが暮らしているアパートにおらせてと言うのかしら!!」
「まりなさんアタシはダンナの実家がイヤなのよ~」
「はぐいたらしいわね!!あんたは優しい方ばかりを選んだけん大失敗をこうむったんよ!!優しくしてくれる人がいなくなったらどうするのだと親から言われて、親の言いなりになって優しい方ばかりに逃げた…せやけん、みじめな目に遭ったのでしょ!!わかっとんかしら!?」
「まりなさん!!まりなさんはアタシをみすてると言うのですか!?」
「あんたね!!甘ったれるんもええかげんにしいよ!!アタシはそなな弱虫なんぞ助けへん!!帰んなさいよ!!」

アタシは、小娘にきつい言葉をぶつけたあとその場から立ち去った。

小娘は、その場にしゃがみこんでメソメソメソメソメソメソ泣きよった。
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