呪われ聖女、暴君皇帝の愛猫になる 溺愛されるのがお仕事って全力で逃げたいんですが?


 ロッテが口元を手で押さえてくすくすと笑っていると、書き物をしていたイザークが手を止めて顔を上げた。相変わらず人に対しては目つきが鋭い。

「ロッテ、ちゃんと説明しないとユフェが混乱するだろ」
「申し訳ございません陛下。いつもの調子で喋ってしまいました。説明しておかないと人も動物も最初はみんな驚きますね」

 ロッテはシンシアと視線が合うように床に膝をついて説明を始めた。
「私は物心ついた時から動物を手なずける力があって、意思疎通ができるんですよ」

 例えばこの子、とロッテは視線を上にやって小鳥を紹介する。
「この子は宮殿の庭園で怪我をしていたところを私が助けたんです。助けてって弱々しい声が聞こえました」

 小鳥はロッテにとても懐いていて彼女が手のひらを差し出せば、ぴょんと移動する。ロッテが部屋の中を飛ぶようにお願いすると、小鳥は短く返事をしてぱたぱたと部屋の中を一周して再び彼女の手のひらの上に戻ってきた。

『凄い! 私も小鳥さんと話せないかな』

 シンシアは猫と小鳥は意思疎通できるのか試しに挨拶してみたが、種族が違うので叶わなかった。
 項垂れているとロッテが頭を撫でて慰めてくれる。

「ユフェ様は猫だからこの子とは話せません。この力は我が一族の特別な力なんです」
『……もしかして、ロッテはランドゴル伯爵の血筋だったりするの?』

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