呪われ聖女、暴君皇帝の愛猫になる 溺愛されるのがお仕事って全力で逃げたいんですが?


 腰に手を当ててうんうん、と一人で納得していると、いつの間にか背後に回ったリアンに羽交い締めにされた。拘束を解こうと暴れたがリアンの腕力には勝てそうになかった。

「ちょっと! 私はお風呂になんて入らないんだから! ルーカス、助けて!」
 助けを求められたルーカスは肩を竦めるとやがて真面目な顔つきでリアンに言った。
「シンシアは少なくとも三日はお風呂に入っていません。念入りに身体を洗って清めてくださいね」
「承知しましたルーカス様。さあシンシア様、身体を綺麗にしましょう」


 シンシアの顔から、ざあっと血の気が引いていく。
 ――ルーカスの裏切り者!!
 穏やかな早朝の修道院内に、断末魔めいた叫びが響いた。

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