恋愛境界線

「でも、リュミナリストの時は一度きりで済んだけど、今回はまだ何かあるかもしれないわ」


そう考えると不安なの……と、吐露する支倉さんの声には、その言葉通り不安が滲んでいる。


つい最近、どこかで似た様な言葉を耳にした気がする。


……そう!あれは渚と一緒にいた時だ。


『今回のプロジェクトはさ、前回以上に大きなプロジェクトだし、今後もまたこういうことが起こらないとも限らないだろうから、気を付けろよ?』


問題が起きた前回のプロジェクトっていうのが、確か――。


『若宮さんが《リュミナリスト》のプロジェクトに携わってた時だから』


支倉さんもさっき『リュミナリストの時は』って、同じプロジェクト名を口にしていた。


頭の中のパズルがどんどん埋まっていって、そして辿り着いた最後のワンピース。




『──あぁ、そういえば。前回、スチルの件で責任を負ったのって、確か若宮さんの婚約者じゃなかったかな』








< 233 / 621 >

この作品をシェア

pagetop