恋愛境界線

「そうだ!飲み物すら出さなくてごめん。てか、純ちゃんご飯食べた?」


湿っぽくなりそうな雰囲気を打ち払う様に、ラグが敷かれたフローリングから勢い良く立ち上がる。


「ううん、まだ」


「じゃあ、一緒に食べよ。ついでに泊まってく?狭いけど」


「せっかくだけど、今は仕事の締切が近いからお泊まりはまた今度の機会にして、今日はご飯だけご馳走になっても良いかな?」


「オッケー。じゃあ、急いで支度するから、適当にテレビでも観てて!」


テレビのリモコンを純ちゃんに預け、ジャケットを脱いでブラウスの袖をまくる。


「そういえば、遥は大学の卒業旅行の時の写真って、まだ持ってる?」


「うん、多分PCに入ってると思うよ」


「私、保存してたデータまで間違っていつの間にか削除しちゃってたみたいで、この間、全然ないことに気付いたんだけど、もうショックでヘコんだよー。いくつかもらっても良い?」


「うん。PC上に専用のフォルダがあると思うから見てみて。そこになければ、オンラインストレージにも保存してたはず」


テーブルの上に置いていたノートパソコンを起ち上げ、純ちゃんにそれを貸してあげると、私は夕飯の準備に取り掛かった。


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