恋愛境界線
scene.28◆私もどこか歪んでるのかも
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結局、奥田さんがどうしてあんなことをしたのか、何が目的だったのか


その辺りのことは一切判らないまま、消化しきれない思いが胸を燻っていた。


「芹沢さん、まだ帰らないの?無理しないようにね。じゃあ、お疲れ」


気付けば、いつの間にか残業していた人たちも帰ってしまい、フロアには自分一人が取り残されていた。


静まり返ったフロアで、椅子に座ったままぼんやりと天井を見上げる。


ふとした瞬間、否が応にも奥田さんのことが頭に浮かんでくる。


奥田さんのしたことは許せないけれど、本当にあれで良かったのかを考えてしまう。


もっと他にやりようがあったんじゃないかとか、今更考えても仕方のないことだとは判っているけれど。


「……芹沢さん」


「わっ!浅見先輩、まだ残ってたんですね」


バランスを崩して椅子から転げ落ちそうになった私を、浅見先輩が支えてくれる。


「ごめん、ごめん。驚かすつもりじゃなかったんだけど」


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