恋愛境界線

「──ところで、芹沢君。これは使えないから、lotusの蓮井さんに返しておいて」


今日受け取ったばかりのデザイン案を、若宮課長が見るなりすぐに突き返してきた。


「使えないって……、どうしてですか?」


「逆に訊くが、君はこれを見てどう思った?」


課長に訊ねられ、最初に感じた通り「女性が好きそうなデザインだと思いましたけど……?」と答える。


それを聞いた若宮課長が、ちょうど側を通り掛かった同僚を呼び止めて、パクトケースのデザイン画を見せた。


「ちょっと、君。これを見てどう思う?」


「こういうの、流行ってますよね。可愛いですし、女性受けするデザインだとは思いますけど……」


私と同じ意見だと思って聞いていたら、同僚は「けど」の後に予想外の言葉を続けた。


「ありきたりというか、目新しさがないですし、これから販売するとなると、うーん……ちょっと厳しい様な気がします」


若宮課長が、私に『これで判っただろ?』と言いたげな視線を投げ掛けてくる。


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