おしゃべり、光さん
あれは入学式当日だった、僕は、1年生で緊張しているとき、同学年の1人の女子がいきなり校長に向かって、「はげてますね」と言った。
その女子は初日早々に怒られていたが、そんな女子を僕は、とても印象に残っていた。しかしもっと衝撃だったのは、その子が同じ教室で隣の席だったことだ。


「明日から高校か、楽しみだな。あんな中学を卒業してやっと明日からドキドキ青春が始まるんだ。隣の席の子は面白そうだし。」
「お兄ちゃん、また独り言w?」
「いいじゃないか、学校ではどうせ人前じゃ話さないんだし」
「家ではうるさいくらいおしゃべりなくせにね」
「ん?なんか言った?」
「なんでもないさ、俺はもう寝るよ」
生意気な弟は、寝所へと逃げた。
「明日はどんな一日になるんだろ」
気持ちが張り裂けそうなくらいウキウキしながら僕は、眠りについた。

学校当日
「この学校は、中学同じだった人は、いない。つまり新しい自分に生まれ変わるチャンスだな。」
「ねぇ、あそこの一年生ずっとぶつぶつ独り言言ってない?」
「あ、また独り言を言ってしまった。」
耳がいいので周りのひそひそ話は、よく聞こえることが多い。
お、朝のチャイムだ
あと五分で授業が始まる。
ん?外から足音がするぞ
クラスの男子達が一気に教室の窓に張り付いた。
僕も人と人の隙間から外を見た。そこには、入学式早々怒られていた女子がこの学校に向かって走っていた。登校時間はとっくに過ぎている。
「高校生になっても遅刻かよあいつ」
1人の男子がそう言うとみんな笑った。
「あいつ馬鹿だもんな」
横にいた男子が笑いに被せるように言った。
しかし僕には、馬鹿な人には見えなかった。直感ではあるが、僕の直感は、良く当たる。
授業のチャイムと同時にあの女子は、ドタバタと足音を立てて廊下走り焦りながら教室のドアを開けた。
「遅れてすみません!」
「初めまして光さん」
先生は、怒らなかったがこの一言に次はないぞと言う怒りがこもってるように感じた。
授業が始まるとあの女子は、小さな声で僕に言った。
「初めまして、よろしくね」
「あ、うん」
いつものことだがいきなり何か言われるとびっくりし過ぎてうんしか言えなくなってしまう。
「君、面白いね」
まだ何も会話を交わしていないのにいきなり僕の印象を言った。そして思った。(面白いのはそっちだろ)
「うん、ありがとう」
僕は、相変わらず人と喋る時は、人と目が合わせられない。初対面の人相手は、特にそうだ。




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