期間限定恋人ごっこ【完】番外編


「代わりにデートしてよ」

『は?』



開いた口が塞がらない、とはまさにこのこと。

お礼の代わりにデート?意味が分からない。


それは違うと言ったら「等価交換だ」と言われ、不良にしては難しい言葉知っているんだなと妙に感心した。



私は思ったことが顔に出やすいのか彼らがエスパーなだけなのか分からないけど、リンさんの隣にいる男が「お前バカだと思われてんぞ」と突っ込んだ。



思った、確かにバカだとは思ったよ?だけどそれを本人に言わないでほしかった。


マズいよ、私これって命の危機じゃない?
命の危機を感じた私は思わず身構えた。


ビビる私にリンさんは吹き出して「とって食いやしねーよ」と笑った。


この人もどこか誠人に似ている感じがする。
若干失礼なとことか。



「で、デートしてくれるんだろ?」



どうやらリンさんの中では決定しているようだ。


『……ユカ』


ここはユカがNOと言ってくれることを願う。

だけど…



「え?余裕でデートするでしょ?」



その願いはあっけなく崩されてしまった。

そうだった…この子面食いだった最悪だ。



ユカがNOと言わなかったので結果的にリンさんたちとデートすることになってしまった。


決まったとこでリンさんはルンルンとし、リンさんの隣を歩く魑櫻の副総長さんはハァ…と溜め息を吐いた。



「リン。お前人の女とんなよ」

「え?だって別れたっていうし?」

「でもこの女はまだ…」

「東志郎より先に女作る!」



この女はまだ何?
てか、東志郎って誰なの?


いろいろ疑問に思ったけどそれを訊こうって気にはならなくて、口を閉じたまま会話をする彼ら2人を見てた。


ようやく私の視線に気づいた2人。
リンさんの「行くか」の一言で私たちはやっと動き出した。



リンさんの後を付いていくのはいいものの、どこに向かっているとか肝心なことを訊いていないことに気づいたため、どこに行くのかを訊くと「とりあえず飯?」と言われた。



疑問系で言われてもこっちが困るし、それに私たち朝食ならもう食べたし。


彼らの朝食に付き合うということか。


モ○バーガーに行くことになり、店内でモーニングセットを頼んだ2人。


ヤンキーとモス……似合わないにも程がある。
マックならまだしも、と失礼なことを考えたり。


席に着いて数分経つと、4人が頼んだものが運ばれてきて彼らはパクパクと食べ始めたかと思えばすぐに食べ終えて、あまりにも速く食べ終えたもんだからビックリしてしまった。


ユカと2人で驚いているとリンさんにどうした?と問われた。



『食べるの速いなと思って…』


例えるならブラックホール。


「そうか?」

< 141 / 231 >

この作品をシェア

pagetop