姉のカレシの、闇に溺れて



 可愛らしく俺に抱きつく沙羅。
 ………はあ、ほんと。沙羅は扱いやすくて助かるよ。


 沙羅の後ろにいる紗和に目線を向ける。


 …………最初は勉強は沙羅がいる所で一緒にした方がイイ。少しでも紗和の警戒心を解く方が先だ。


「紗和、勉強は沙羅ちゃんがいる所でしようか? それならイイだろ?」


「…………それなら」


 紗和は曇った顔で渋々と頷く。
 そんな紗和の機嫌を取るかのように、俺は買ってきたケーキの箱を渡した。


「さっき買ってきたから。一緒たべよ?」



 ソレがケーキだと理解した紗和は、少しだけ表情が明るくなった。


 分かってはいる事だけど、沙羅と違って、本当頑固で素直じゃなくて、全然俺の思い通りに動いてくれない。


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