狼男


「おいお前ら。くちゃべってる暇あったら誰かこれコピー取ってこい。」


「「「!!?」」」


やべっ・・・・。

“解散、かいさ~ん”と言って一瞬にして輪が解けて、後輩が慌てふためいてコピー機へ走る。


相変わらずこの男は・・


「宮本っちゃん。
そんなピリピリしないでよ~。

月末〆終わってホッと一息・・
あ、久しぶりに飲み行く?」


「・・・・上原。」


「ん?」


「気安く俺にタメ口を聞くな。
同期だろうが関係無い。

例え先輩だろうが関係無い。“営業成績”で俺を下回る奴は全員敬語で話せ。」



・・ピリついてんな~。


クイッと眼鏡を指で上げて、

後輩君からコピーを受け取るとすぐにまたどこか取引先へと出払っていく。


ここ営業部で絶対に越えられない壁・・

それは俺と違って、入社以来あっという間に階段を駆け上り、No.1に君臨する同期だった。



宮本はとにかく頭が良い。

“Qさま”のインテリ芸能人チームに負けないぐらい、とにかく“インテリ!”な雰囲気がバンバン。


万年最下位の俺もなんとか宮本の下までは追いついたけど・・

あいつには勝てないよなぁ(T^T)



とりあえず溜まってた今月の経費、
恵子ママに精算してもらおう。


領収書を持って経理部へと向かう。


・・・もしかしたら・・・
噂の新人さんの顔を拝めるかな(*´ェ`*)



















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