眼鏡王国記 ~グラッシーズの女神~


あれは……。


────そう。あれは学校帰りのことだった。


「ある~ひ~♪ もりのなか~♪ めがねに~であった~♪」


軽い足取りで自作の歌を歌いながら、高校からの帰り道。

ふと、公園でやっていたフリーマーケットが目についた。

特に予定もなかったので、なにげなくそこへ立ち寄ることにしたのだ。

公園中央の広場では、値札の付けられた古着ぎだったり骨董品だったりと様々な物が広げられかなりの賑わいを見せていた。

なにげなく、その中を端から眺めていく。

すると、その片隅でおよそフリマとは不釣り合いな真っ白いスーツを着た、イヤでも目を引く金髪のホスト風イケメンを見つけた。


フリマにホスト? と、その違和感も気にはなったが、綾乃はそのイケメンホストが唯一出品していた品物に目を奪われた。

簡易テーブルの上にちょこんと置かれたそれは、綺麗な装飾の施された眼鏡だった。

透明なフレームに七色の星やハートを象った宝石が散りばめられ、ヒンジ部から耳にあてるモダン部分には、見たこともない紋様のようなピンク色の文字が刻まれていて一見すると豪華なアクセサリーにも見える。が、レンズが付いていることからも、間違いなくそれは眼鏡だった。

眼鏡をかけた男子が好きで、最近では眼鏡本体にもよだれが、いや興味が出てきた所謂、眼鏡萌えの綾乃にとって、珍しい眼鏡の発見はどんな人物がかけたら似合うのかと妄想をかきたてられる一大イベントなのだ。

綾乃はさっと駆け寄ると、テーブルに顔を乗せその珍しい眼鏡を舐めるように見入っていた。


『かけてみますか』
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