マネキン少女
私は読者モデルをして、自信が付いたのかも知れない。


クラスでひとりぼっちでも、余り凹まなくなった。


むしろ、教室で1人ボーッとして脳内で色んなポーズや表情を作る想像をしとけば、寂しさなんて感じる暇も無かった。


ただ、昼休みなるとどうしても屋上に向かってしまう。


その理由は驚く程に単純。


ヒロと言葉を交わす、チャンスを逃さないようにする為だ。


給食を食べ終わると、屋上に移動する。


ヒロが来るのを楽しみにしている自分が存在している。


待っても、待っても、扉は開かない。


今日も来ないかな……。なんて、諦めた瞬間だった。


ギギギと金属が軋む音がして、屋上の扉がゆっくりと開き、ヒロが現れた。


その瞬間、私の心は天使が舞い降りてきたみたいに騒ぎ出す。


「るるちゃん、久しぶり!!」
「ひ、久しぶり……」
「最近どう?」


なんて問われて、読者モデルとしてデビューした自分を思い出す。


「凄く嬉しい事があったの……」


私の喜びをヒロに共感して欲しかったりするが、雑誌に載った自分を見られるのはくすぐったい。


「何があったの!?」
「あの……。その……。恥ずかしいんだけど……」
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