マネキン少女
「じゃあ、日時はまた連絡するよ！」
「はい！」


それからトントン拍子に話は進み、撮影の日がやって来た。


今回は街角での撮影では無く、出版社の中にあるスタジオで写真を撮る。


普段では体験出来ない、非日常的な感覚に背筋がピンと伸びた。


今度も良い評価のもらえるような仕事をしなくてはならない＿＿


そんな、プレッシャーに押し潰されてしまいそうだ。


挨拶を交わしながら、撮影の準備を行ってゆく。


名前を呼ばれてスタジオ内に移動すると、用意されたテーブルの上に黒いバックを置いた。


「まずは、顔の撮影からするよ！自分らしい表情を作って！」
「はい！」


足音を鳴らしながら、カメラの前に移動すると表情を作っていく。


誰にも媚びない表情。
自由気ままだけど芯のある笑顔。


カメラの前でなら、どんな私でも演出出来るのだから好きな私になればいい。


乾いたシャッター音のリズムに合わせる様に、くるくると表情を変えていく。


「完璧だよ！！」


結構長い時間撮影をしていたはずなのに、ほんの一瞬に感じる程楽しかった。


「次は、バックの中身ね！」


そう言われテーブルに移動すると、バックのチャックを開けた。




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