皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
『なに、いってるの⋯⋯』
『ジャドレを殺したのは俺だ』
前にしゃがみこんだ彼は、言葉の刃で私を貫いた。冷たくなったお父さまを抱きしめ、咄嗟にズルズル後退する。
信じたくない。でも私にはわかってしまった。
彼は嘘をついていない。
嘲笑の裏で、絶望に陥れようとしている思惑が貪欲に見える。
これまで私に注いでくれた深い愛情はウソだったんだろうか。
そう頭では思っても、笑みを浮かべる“この男”を問いただす余裕なんてちっともなかった。信頼への道筋が全てが絶たれたと同時に、思い合っていた過去が見えなくなってしまったから。
じわじわと目の前が真っ赤に染まっていくのがわかった。絶望とは矛盾した灼熱の球体のようなものがガッと喉にこみ上げてくる。
心の中がドス黒いモノに埋め尽くされて、今にも自分を見失ってしまいそうだ。
心臓がえぐられたように痛くて。熱くて。身体中の血液がマグマにでもなったみたい。
この“燃えたぎるような炎のような感情”の名前が私にはわからない。
でも、これだけはいえる。
⋯⋯絶対に許さない。
そう心で決意した瞬間、目の前の男に我を忘れて掴みかかっていた。
微かに黄金色が揺れたような気がしたけれど、私にはもう見えない。
『許さない⋯⋯あなただけは絶対に許さない』