皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】

そう。仮面舞踏会である今日は、この参加者揃いの黒い仮面をつけるのがここでのルール。全員目元と口元しか見えない。

だから彼から見えるのは、背中まである波打つ蜂蜜色の髪と、人形のようだと言われるエメラルドの瞳だけ。私の顔は見えていない。


「仮面をしていても、あなたからにじみ出る美しさは隠せていないようですが?」

「まぁ、お上手ですね」


さらりとお世辞をかわしつつ、男の顔を盗み見る。

仮面から除く翼のような睫毛。芯の強そうな涼しげな目元。さらに薄い唇はツヤツヤ。仮面の下にある眉目秀麗な顔をぷんぷん匂わせる不思議な男だ。


どおりで女性たちがチラチラ見ているわけね。


周囲から感じる、異様に色めきだつ視線。

グラスを置いて、その様子に気を配っていると、白い手袋をつけた大きな手が前にやってきた。
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