秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
「恵麻。怪我したら動物さん見られなくなるし、大きな声を出したり、走ったりしたら動物さんもびっくりしちゃうよ」

 私は恵麻の目を見て諭す。

「ごめんなさい……」

 しょんぼりとつぶやく恵麻を、相良さんが抱き上げた。

「恵麻ちゃん、ちゃんとごめんなさいできてえらいね。なにから見にいこうか」

 相良さんは、うつむく恵麻に柔らかな声を降らせる。

 私が慌てて「重いので抱っこなら私が――」と告げるが、彼は「大丈夫。まったく重くないよ」と、慈愛の眼差しを恵麻にそそいで答えを待ってくれていた。

 上目遣いに相良さんを見た恵麻の表情が、みるみるうちに明るさを取り戻していく。

「キリンさん! でも、ペンギンさんもぞうさんもみたい」

「よしっ。時間はたっぷりあるから全部見よう」

 相良さんの言葉に、恵麻の目がいっそう輝く。
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