秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
「あなただったのね……!」

 その勢いに押され固まっていた私の身体から、大和さんがショートカットの女性を引き剥がす。

(いずみ)。天音が驚いてる」

 そう言った大和さんが、呆れたようにため息をついた。その言葉にはっと我に返ったショートカットの女性が、「ごめんなさい」と豪快に笑う。

 こんなにパワフルな人だったんだ……。

 以前保育所で一瞬お会いしたときからは想像できなかった雰囲気に戸惑いながらも、私は気を取り直して口を開いた。

「今日は、お招きいただきありがとうございます。花里天音です」

 私が言うと、ショートカットの女性はゆったりとした笑顔を浮かべる。
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