秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 水漏れの応急処置はしてくれたらしいけれど、被害の大きさから普通に暮らせる状態ではなく、寝室も危険だと言われ私たちは簡単な荷物を纏めて家を出ることに。

 以前から私たち親子を見かけると必ず声をかけてくれていた大家さんは、すぐに電話をくれてこちらが恐縮するほど平謝りしてくれた。

 濡れてダメになった家財や電化製品。かかる宿泊代などもすべて大家さんが保険で補償してくれると言っていたけれど、問題はそのあとだ。

 大家さんは高齢のおばあちゃんで、今回老朽化により私の部屋がこんなことになって、これを機にアパートの取り壊しを決めたのだという。

 しばらくはホテル暮らしで、次の家も探さないといけない。今のアパート、築年数もなかなかのものだったから外観こそ古いけれど、その分家賃もお手頃で、駅も近くて便利だったのにな。

 とりあえず寒い中を歩いて恵麻に風邪を引かせるといけないので、タクシーを使って会社の近くの駅前へと戻って来た。
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