Crush~いつも君を想う~
元はと言えば、千世ちゃんが悪いのだ。

お見合いが嫌だと言って私に入れ替わりを提案したことがきっかけでこんなことになってしまったのだ。

結婚に関して前向きに考えてくれて家族が欲しいと言っていた長濱さんの気持ちを踏みにじる結果になってしまった。

「もう切るね」

「えっ…ああ、おやすみ」

私が返事したのを確認すると、ブツッと電話が切られた。

スマートフォンを枕元に置くと、私は息を吐いた。

「長濱さんと違う形で会いたかったな…」

千世ちゃんの身代わりとして長濱さんとお見合いをするんじゃなくて、本條一果としてちゃんと彼に会いたかった。

「もうこれで、長濱さんと会うことはないんだろうな…」

そう呟いた後で、私はベッドのうえで横になった。
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