忘愛症候群


「…っはぁ」



いっぱい検査して疲れたや。



「それに異常なしってことは記憶喪失じゃないってこと?」



一体何が原因なんだろ?
あたしが考えても原因は分からないけど。


朝から色んなことがありすぎて…疲れたし眠たい。


「明日学校でな」と言って帰っていった一真くん。
あの寂しそうな笑顔が頭に張り付いて離れない。


今にも泣きそうな顔してた…思わず抱きしめてあげたいと思った。



覚えてないけどあたしの大切な…愛しい人をあんな顔させてしまったな。

少しだけ心が痛かった。




一真くん。

一真くん。

ごめんね一真くん。


もう一度あなたに恋をするから、好きになるから___それまでもう少し待ってて。


前の気持ちはないけど一真くんと恋がしたい、そう思った。



「酷い誕生日…だったなぁ…」



そこであたしの意識はプツリと切れた。

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