八木澤くんは不器用に想う



「危機感がないわけじゃない。
東雲くんは…なにもしないと思ったから」




そう言ったら


東雲くんは私に背を向けたまま、はぁー…と大きなため息をついた。




「初ちゃんにとって、俺どんだけキレイな男なの」



「東雲くんは、優しい人だよ」



「……バカな子」




呆れたように呟いた東雲くんは


子どもを抱えるように、私の脇に手を滑り込ませて立たせた。



……子ども扱い?



東雲くんを見上げると


フフッと楽しそうに笑った。




「初ちゃんってちんちくりん」



「な…!?」



「俺ってそういう奴だよ」




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