八木澤くんは不器用に想う



ボソッと呟いたら、


八木澤くんがブッてバカにしたように笑った。




「こんなのもわかんねぇのかよ」



「……苦手だもん」



「さすがの俺でも解き方くらいわか…」




八木澤くんは私から取り上げた教科書を見ると、


パタン、と静かに教科書を閉じた。




「……俺は英語でもやろうかな」



「怜央も数学苦手だよな。
小テスト26点だったもんな」



「バラすな孝弥!!」




えー、なんだよぅ。


八木澤くんだって全然勉強得意じゃないじゃん!




「数学なんて出来なくてもいいだろ。
算数ができれば生きていける」



「勉強やりたがらないヤツってそれ言いがち」



「うぐ…っ」




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