素直になりたい。
「お~い!鷲尾ちゃ~ん!」


この声は...。

振り返ると、私に抱き付いてきた。


「結実、痛いよ。やめて」

「いやぁ、嬉しいよ~!ほんと、嬉しいっ!わたくし、本当に嬉しいの!だって、最優秀賞だよ!あんな迫真の演技をされてしまったら、負けを認めざるを得ないから~!まぁ、今夜はぼっち同士、楽しみましょうよ~!」


そういうことか。

確かに結実も私も、恋人いないもんね。

未来のない者同士、仲良くやるしかないか。


「あっ!今、矢が飛んだ!うわっ、あっちも!」


矢が次々に飛び交う。

はしごに登って高い位置から低い位置に向かって打つ人も入れば、

低い場所から高い場所へ放つ人もいる。

もちろん、真っ直ぐ射る人も...。


「すっごい!流れ星みたい!」

「だね。すっごく綺麗だ...」


これが流れ星だとしたら、

お願いをしたら、叶うのかな。

夜空に放たれる矢が全て

願いを乗せた可能性でありますように。

私はそう祈った。


蛍光色の、

眩しいばかりの矢が夜空を彩る。

その矢に射られたのは、

他でもない、

私だった。

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