素直になりたい。
――ドンッ!


「うわっ」


誰かとぶつかってしまった。


「すみませんっ!」


思いきり頭を下げてから、勢い良く上げると...ばっちり目が合った。

彼の目は笑っていた。


「おはよ、ハム」

「だから、ハムじゃないっ!」


足を踏んでやろうかと思ったが、やつは上手くかわし、掲示板の前に移動した。

あの時真っ白になった頭は、今は私よりサラツヤの黒。

一体どんなシャンプー使ったらこんなになるの?

羨ましくもあり、恨めしい。


「ハムと一緒じゃん。よろしく」

「よろしくしたくない」


そう言って踵を返し、コツコツと派手にローファーを鳴らしながら廊下を歩いていく。

3-A組は2階の1番端の教室。

はて、今年はどんなクラスになるんだろう?

去年よりはいくらか話せる人がいるクラスが良いな...。


「あのさ」


追っかけてきた。

こっちは話したくないの。

話しかけるな。

無視してどんどん進んでいくと教室が見えて来た。

女子が廊下に出てきてキャーキャー騒ぎ出す。

まぁ、顔は良いからね。

顔だけ、だけど。

本当に顔だけ、だけど。

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