吸血鬼少女レイチェル。
トマトハウスとあたし。
あたしはセブンです。

メイド。

ここ英国にあるトマトハウスはレイチェルさまがお住みになっている館です。

レイチェルは珈琲とトーストを齧りながら、電子ペーパーで新聞を読んでいます。

「はあ、コロナで世界は大ピンチね」とレイチェル。

ぽんと手を打つ。

「こういうときこそ、文学の出番よ!」
「お言葉ですが、レイチェルさま。
いかにトマトハウスの国庫が豊かであれ、レイチェルさまのように節約をあまりなさらない方が、コロナ喎を乗り切れるとは思えませんが」
「ならセブン。
グリーンノアにはジャガイモ畑があるわ。
きっと食料品が次には不足するから、トマトハウスは第二次大戦のように、貧窮院になるわね」
「そうですね。
懐かしい思い出です」
「そう。あの生意気なジョンとかいう少年もいたわね」
「ジョンなら町の名士になっています」

レイチェルは電子ペーパーに目を落とすと。

「分からないの」
「はい」
「危機は起きた。でも生活はあたしは作家のまま。
リモートワークに移行し、あたしは吸血鬼だし、セブンは宇宙人。
アルファはあんなだし、危機感がある日常と現実をうまく言葉にできないでいるの」
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