真夜中のサイコパス
「ねぇ、朋子。

聞いて欲しいの。

私ね、剛志君とキスをしたんだよ」


「えっ、本当に?」


「本当だよ。

初めてのキスだったからドキドキしたけど、すごくうれしかった。

私ね、剛志君のことが前よりもずっとずっと好きになった」


「いいなぁ。

ちょっと美澄が羨ましいかも」


「朋子も彼氏を作ればいいじゃん。

朋子と付き合いたい男子はいっぱいいるよ」


「そんな簡単に決められないよ。

ランチのメニューを選んでいるわけじゃないんだからさ」


「それはそうだけど……。

あっ、わかった。

朋子はなにも言わないけど、じつは好きな人がいるんでしょ。

ねぇ、その人って誰?

教えてよ」


「嫌だよ、そんなの……」


朋子は照れたようにそう言うと、少しだけうつ向いてつぶやくようにこう言った。


「片思いしている人はいるけれど、私からその人に告白なんてできないよ。

絶対に無理だってわかっているから」


そのとき美澄は照れてる朋子をかわいいと感じながら、朋子の恋が上手くいくようにと思っていた。


朋子は自分の大切な友達だから。
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