真夜中のサイコパス
友達の話に夢中になって②
「こんな感じでね、美澄は一番の親友の朋子に裏切られたんだよ。

ちょっとかわいそうだよね」


机を挟んで向き合って話していた優子が私にそう言ったとき、美澄に感情移入していた私はむきになって優子にこう言った。


「かわいそうなんて言葉じゃ済まされないよ。

一番信頼していた友達に一番ひどい裏切られ方をしたんだよ。

私は朋子を許せないなぁ。

絶対に許せない!」


「咲良ならそう言うと思ったよ。

咲良は恋のライバルには敵意をむき出しにしても、友達には優しいもんね」


「もちろんだよ。

友達は一生付き合える大切な人なんだよ。

裏切りとかマジあり得ない」


「じゃぁさ、もしも私が咲良を裏切ったらどうする?

たとえば私が咲良の知らないところで拓実君と付き合ってたとか」


「絶対にあり得ない話だから現実味がないけど、そんなことしら優子でも許さないよ」


「現実味がないとか失礼なんだけど……。

私だってイケメンの拓実君と恋に落ちるかもしれないんだからね」


「それはないよ。

優子はイケメンにチャレンジするタイプじゃないしさ。

私の恋のライバルは木村菜々子だよ。

あいつに勝たなくちゃ、拓実君とは付き合えないんだよ」


私が切実な思いを込めてそう言うと、優子は楽しそうに笑っていた。
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