真夜中のサイコパス
「今まで朋子に聞いた美澄って、キラキラしたイメージの女の子だけど、そんな美澄が今では学校の都市伝説の幽霊なんだよね」


「うん、そうだよ。

浜中美澄はね、好きな人と結ばれるために力になってくれる恋敵を呪う幽霊だよ」


「恋敵を呪う幽霊かぁ。

学校のアイドルもめっちゃランクが下がったね」


「まぁね。

それも仕方がないことなんだけどね。

美澄は都市伝説の幽霊になるようなひどい事件を起こしたから」


「ねぇ、優子。

その事件って、いったいなんなの?」


「知りたい?」


「知りたいに決まってるじゃん。

意地悪なんだからさ」


私がそう言って拗ねると、優子はうれしそうに笑っていた。


そして優子は私に笑顔を見せながら、私の興味を引くようにこう言った。


「それじゃ、今からさ、浜中美澄の復讐編を話すよ」


優子は話し相手を焦らしながら、小出しに話をするのが大好きだ。


私はそんな朋子の作戦に乗るみたいに、前のめりになって、朋子の話に聞きいっていた。


「美澄はね、大好きだった彼氏を奪った朋子を心の底から憎んだの。

それでね、顔に火傷を負って上手くいかなくなった毎日の生活を全部、朋子のせいにして朋子を憎んだんだよ。

あの明るく前向きだった美澄はいなくなって、朋子を憎んで後ろ向きになった美澄が生まれたの。

美澄の心の闇は深いよ。

朋子に裏切られた美澄はね……」


私は優子がまた話し始めた浜中美澄の物語を夢中になって聞いていた。


かつての里山高校のアイドルはこれからどうなってしまうのだろうと思いながら……。
< 32 / 212 >

この作品をシェア

pagetop