キミから「好き」と、聞けますように。
第4章 君が優しい理由

紗雪side


今日の1時間目は、LHR。
文化祭の出し物についての話し合いだった。



「出し物で、何か案はありますかー?」



文化祭実行委員の人が、教卓の後ろに立ってハキハキとした口調で尋ねた。



「はいはーい! スタバ風なんてどうですか?」



後ろにいる、女の子が手を上げながらそう言った。



「スタバ風?」



「スタバだったら、このクラスで何人かバイトしてる人もいるし、他のクラスと被ることはないと思うんです!」



「はい、わたし、コーヒー作れまーす!」



「俺も飲食でバイトしたことあるから接客やれまーす!」



みんなは自分の経験をどんどん話し、さっきまで静かだったのが嘘のようにガヤガヤとし始めた。



「はい、静かに!」



パンパンと手を叩きながら、担任がクラスを静める。



「スタバに反対意見ある人はいますかー?」



実行委員の言葉に、何も答えないみんな。



「他の意見はありますかー?」



再び、何も答えないみんな。



「では、うちのクラスはスタバにしたいと思います!」



「イェーイ」や「やったー!」など、そんなにスタバ風にすることに決定されたのが嬉しいのか、と思わず心の中で呆れてしまった。





< 107 / 183 >

この作品をシェア

pagetop