キミから「好き」と、聞けますように。

「わりぃ、温森も分かってると思うけどさ。それ、もしかしたら好きかなって思ったやつじゃなくて。紫杏から聞いたんだよ」



「紫杏ちゃん?」



「温森、それ買おうとしてたらしいけど買わなかったみたいだってこと、あいつが話したから。それでつい……言葉だけじゃなくて他のこともしたいって思ってたから」



わたしの知らないところで、東條くんも紫杏ちゃんもこんなに動いてくれてたんだ。


本当に、いい人だなぁ……。

だけど、本当にいいのかな。
わたしはそう思い、自分の両手に乗ったネイルチップを眺める。



「そんな……嬉しいけど、訳もなく買ってもらっちゃって」



「_____バカか」



わたしの言葉を、東條くんは勢いよく遮った。



「えっ」



「訳もなく、なんてなんでそう思うんだよ」



「だって……別に今日はわたしの誕生日でもなんでもないし……」



東條くんの冷たい言い方に、わたしの唇は思わずぶるぶると震えた。



「俺の気持ちは無視かよ」



不貞腐(ふてくさ)れたかのように、唇を尖らせる東條くん。




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